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zoom RSS 堀内誠一の世界(7)<渡辺茂男が語る堀内誠一の思い出>

<<   作成日時 : 2011/09/23 20:36   >>

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<渡辺茂男が語る堀内誠一の思い出>

 子どもの絵本にとって、太陽のような明るさが、もっとものぞましい要素の一つであると、私はいつも考えてます。

咲ききそう菜の花畑の明るさ、真夏の真っ白に入道雲、秋晴れの澄みきった青空とサルビア、そんな明るさが、躍動する子どもたちの生命力を連想させます。

苔の緑も美しいと思いますが、太陽の光りと熱にあてれば、水分が蒸発してみにくく枯れてしまいます。

 堀内誠一さんの絵本は、そんな湿り気をふりきって、すみずみまで太陽の光りをあてているので、私は大好きです。

堀内誠一さんの絵本を見る子どもの心に、陰湿なカビのはえる余地は、全く生まれません。

 それから、堀内さんは、子どもの心と同じように、ゴムまりのように弾む、やわらかな感覚をもっているので、私は、堀内さんの絵本を見るたびに驚かされます。

『おおきくなるの』や『たろうのおでかけ』のように、今の次元を、いまの子どもの感覚でとらえるのかと思うと、『七わのからす』のような昔話や『人形の家』古典の世界へするすとはしりこんで、くりくりした目で、その世界を見まわし、いとも自然に、その世界を描ききってみせるのです。

かと思えば『くるまはいくつ』では、じっと見つめ、正確に緻密にディテイルと捉え、造形美豊かに表現するのです。

 堀内さんは、ストーリーの雰囲気を的確に感じとる鋭敏な感覚をもっています。そして、感じとったものを、それぞれにもっともふさわしい表現方法で描いています。

 堀内誠一さんがこの世を去って、新しい絵本が、もう生まれてこないことは、とても残念です。

私はときどき堀内さんの絵本をとりだして見ることにしています。気持ちが明るくなって、空想できるからです。

堀内さんのことを思い出すのは、懐かしくなって淋しいけれど、心が休まります。思い出そうとしなくても、私の心のなかに堀内さんが、そっと勝手に入ってくるときがあります。

そして、どこを見ているのかわからない大きな目玉で、私の心の内を見回すのです。ですから堀内誠一さんのことを、何か書こうと思うと、私は困ります。

 今から三十年以上も遡りますが、福音館書店の松居直さんに「こんど、堀内誠一さんと一緒に三、四歳向きの、やさしい乗り物絵本を創ってみませんか」といわれて、アド・センターに連れていかれ、堀内さんに初めてお目にかかりました。

堀内さんは、視線が、頭の横を通りすぎるように私の方を見て「どうも。ここが仕事場です」といいました。私は、「はじめまして、ワタナベです」といいながら、「今日は、空が青いな!」と思いました。

「『くるまはいくつ』と『てつたくんのじどうしゃ』」『心に緑の種をまく』渡辺茂男 新潮文庫

☆☆

 くるまはいくつ
 車好きの現代っ子のために、なぞなぞ風に、サーカスの一輪車から、数えきれない数の列車まで、その動力の原理も含めて、おもしろくページを追っていける知識の絵本です。

 「たろうのおでかけ」以来、ぼくを乗り物専門の画家と勘違いした出版社から、どうじょうずに描いてもおもしろくない注文が殺到して、参っていたところでした。これがよい乗り物絵本だ、と思えるものだったら一度は作りたかったので、渡辺茂男さんのお話をわたされたときは、全く何という仕事運のよい男だろうと感激したものでした。
 
 『ぼくの絵本美術館』堀内誠一 マガジンハウス

☆☆

『くるまはいくつ』渡辺茂男作(福音館書店、1966年)は、絵本という形式ならではの構成を持ったテキストで、こちらは画工になりきれさえすればよかったのです。

『てつたくんのじどうしゃ』(同、1969年)もそうです。渡辺さんとはさし絵でも組んでいます。そうした場合は少し要求されるものが違いますが、合奏者としては目的がはっきり解って明快でした。
 
 『父の時代・私の時代』堀内誠一 マガジンハウス

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