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zoom RSS 堀内誠一の世界(8) 岸田衿子が語る堀内誠一の思い出

<<   作成日時 : 2011/09/27 21:21   >>

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<岸田衿子が語る堀内誠一の思い出>

 ある出版社から色のシリーズで出していた絵本の一つが『かにこちゃん』です。毎月、赤、色、黄、黒などいろんな色をテーマにした絵本が出たんです。私と画家の堀内誠一さんは「赤」を担当することになりました。

 打ち合わせの時に、「赤がテーマなら、カニの子どもはどうかしら」と私が言いました。

すると堀内さんは「カニのなかでも、シオマネキは特に赤く、しかも片方のはさみが大きいので、まるで手を振って太陽を呼んでいるみたい。

さようならをしているみたいにも見える」と言いながら、シオマネキのまねを何度も何度もしてくれました。

そのことばとしぐさがヒントになりました。何しろシオマネキのまねをずっとしているから、目に焼き付いて。

カニの子どもがいろんな所から出てくるといいなとか、行列するとおもしろいとか、どんどん発想が生まれました。海を呼ぶように手を振る、すると潮が満ちてくる。

これでお話はできたようなもの。あとはリズムを大切にして、子どもたちが喜ぶことばを工夫しました。耳から聞いて覚えてもらえるようにね。

 赤いシオマネキの子どもたち、真っ赤な夕日とその赤に染まる海。本当に赤がきれいな絵本になりました。

 「絵本はことばと絵が作り出すすばらしい世界」岸田衿子さん 『教育を考える特別号2』 日本公文教育研究所

☆☆

 堀内さんとはじめて仕事をしたのは、1967年、世界出版社から出た「色」をテーマにした絵本のシリーズでした。

赤、青、黄、緑、オレンジ、などといった何色かの色をそれぞれ作家と画家が組んでつくるのですが、私と堀内さんは、赤の担当でした。

ほかには、中川季枝子さん、山脇百合子さんのおふたりや、長新太さん、東君平さんなども参加していました。

 そのなかで、一冊目として四月に刊行されるのは赤い本と決まり、なんだか急いでいてとにかく仕事が早い作家にと、私たちを出版社のほうで選んだようです。それまで堀内さんが仕事の早い方だということは聞き知っていました。

 この絵本のシリーズで、私たちは『くまとりすのおやつ』(赤い木いちご)、『かにこちゃん』(赤いカニと夕焼け)、『おにまるのヘリコプター』(赤鬼の子と赤いヘリコプター)と三年間に三冊作りました。

子どもの成長に合わせ、お話のほうも少しずつ複雑なストーリーを持つものに代わっていきます。

「いつも楽しかった仕事」岸田衿子『堀内誠一旅と絵本とデザインと』コロナ・ブックス

☆☆

“色の絵本”というシリーズが企画された時(世界出版社、1967年)、岸田衿子さんと会いました。二人が担当したのは“赤の絵本”です。長新太さんは今江祥智氏と、“黒の絵本”で、毎日黒のことばかり考えていて気持ちがまっ黒になったそうです。

 『くまとりすのおやつ』は赤い野イチゴの話、『かにこちゃん』は赤いカニと夕焼け、『おにまるのヘリコプター』は赤鬼の子と赤いヘリコプターの話です。

 おにまるはひとりぼっちで相手がほしくてヘリコプターで町にでかけますが、皆はこわがって逃げてしまいます。

岸田さんには男の子の未知君がいて、それがおにまるだとはすぐに解りました。このお話の結末はとても好きで妖しい美しさがあります。

おにまるはある日、桃の木のそばに降りて来て、おいしい桃を食べて木のしたで満足して眠ってしまいます。

目が覚めてみたら可愛い女の子が立っています。あたしモモコというの。

妹ができたおにまるは大喜びで女の子をヘリコプターに乗せて空へ飛んで行きます。

私は詩心というものの強引な生命力のようなものに惚れてしまいました。そのうち衿子さんがちゃんと桃の精のような琴ちゃんを生んでしまったことにおいては!

 「絵本との出会い・交友録」『『父の時代・私の時代』堀内誠一 マガジンハウス

☆☆

1977年3月5日 堀内誠一から岸田衿子へ

 『オニまるのヘリコプター』は衿子さんの傑作のひとつだと思います。もしあの会社がツブれちゃったなら、もう一度どこかで出してほしいです。

『パリからの手紙』堀内誠一 日本エディタースクール出版部

☆☆

 上等な手紙 岸田衿子

シチリアで人形芝居を見たあとの堀内さんの手紙には「人形の顔が何とも美々しくて、悲愴なのが、思わず涙が出るくらいでした」と、あります。

「あの人形がどうしてもほしくなり、一体買って帰りました」と。美々しいという文字に人形の姿がほうふつとして、「わかるわかる、美が一字じゃたりなかったのだろう」と察することができました。

 堀内さんの手紙には、旅先などの見聞を、相手にぜひ伝えたいという真情に、持ち前のおかしみのある話術が加わり、魅力のある手紙のお手本、と云いたくなる文面がたくさんあります。

また、便箋がうすいために、裏の絵具がにじんでいるのが、開く楽しみを倍増させてくれるのです。

いつも大声で喋らず、大声で笑わない堀内さんは、ふだんは無愛相といってもよく、返事をすることもまれだったとか、怖いという噂までしきりにあります。

ところが手紙では、誰でも堀内さんの細やかな優しい面を見るにちがいないのです。そこがジギルとハイドみたいに面白くて、堀内さんて複雑なのかなーなどと想像するのです。

 同じことは彼の絵や仕事にも云えることです。コンパスや定規を使った、正確なマルだの四角が出てくる科学絵本を描くと思えば、筆やフェルトペンで一息に描いたような子供や動物のさし絵や絵本、また柔らかく繊細な鉛筆だけの絵本など――その他あらゆる手法の――作品。その奥には同じ人でなければとらえられない、同質の温かさとスマートさがひそんでいることがわかります。

一言で言いにくいけれども、いやみなところが全然ないのも特徴です。


 もし、頂いた手紙をみんなつないでゆけば、本当に面白くてうつくしい絵物語りになってしまうことはたしかです。(詩人)
 『パリからの手紙』堀内誠一 日本エディタースクール出版部

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